物価と給料の数字を2020年から並べていて、2022年のあたりで完全に逆転していることに気づいた。「賃上げ」という言葉は毎年のように報道されていたのに、実質ベースで見ると2023年がいちばん厳しい年になっている。佐賀県のデータを加えると、全国平均より約14%低い給与水準で同じ物価上昇を受け続けている構図が浮かんだ。

📊 全国:物価 vs 賃金の推移(2020〜2024年)

CPI(全国・2020年基準)名目賃金変化率(前年比)実質賃金変化率(前年比)
2020年100.0(基準)
2021年99.8(−0.2%)+1.2%+0.9%
2022年102.3(+2.5%)+1.9%−1.0%
2023年105.6(+3.2%)+1.3%−2.5%
2024年108.2(+2.5%)+3.1%+0.1%

出典:総務省 消費者物価指数(2020年基準)、厚生労働省 毎月勤労統計調査

🗾 佐賀県 vs 全国:給与水準の比較

区分所定内給与・月額(2023年)最低賃金(2024年度)全国比
全国平均307,700円1,055円(加重平均)
佐賀県264,500円956円85.9%
差額−43,200円/月−99円/時−14.1pt

出典:厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2023年)、地域別最低賃金(2024年度)

🧮 2020年→2024年 累積変化の整理

指標2020年2024年4年間の変化
消費者物価指数(全国・総合)100.0108.2+8.2%
現金給与総額(全国・名目)319,354円/月約344,000円/月+7.7%
実質賃金指数(全国)100.0約99.5−0.5%

出典:各統計の年平均値をもとに試算。2024年の給与額は速報値ベース。

🔍 数字を追って見えてきたこと

2021年は携帯料金の引き下げ政策でCPIが前年比−0.2%まで下がり、名目賃金がプラスだったため実質もプラスになっていた。「給料が増えた気がする」感覚と一致する唯一の年だった。

転換点は2022年。エネルギーと食料品の価格上昇が重なり、物価が+2.5%に跳ね上がって名目賃金の+1.9%を超えた。「賃上げ」という言葉が増えたのはちょうどこの年以降だが、実質では−1.0%。2023年はさらに拡大し、実質賃金は−2.5%と4年間でいちばん大きく動いた。報道で「賃上げ」が連日流れていた年に、数字はいちばんきつかった。

2024年は春闘で大幅な賃上げが決まり、名目賃金が+3.1%と久しぶりに物価上昇率を上回った。ただし実質の改善は+0.1%程度で、2022〜2023年に積み上がったマイナスは回収できていない。累積で見ると物価+8.2%に対して賃金+7.7%、実質は−0.5%で4年間を終えている。

佐賀県の話に戻すと、全国平均より月4.3万円低い給与水準で同じ食料品・光熱費の値上がりを吸収し続けている。物価上昇率は全国一律でも、収入のベースが低いほど家計に占める打撃は相対的に大きくなる。最低賃金は2020年の820円から2024年の956円へ+16.6%と、同期間の物価上昇+8.2%を実質で上回っているため、最低賃金水準の人はかろうじてプラス圏に届く計算になる。平均賃金の伸びより最低賃金の引き上げペースが速かった点は、このデータで初めて意識した。

📝 まとめ

4年間で物価が+8.2%上がって、賃金は+7.7%しか上がっていない。差は0.5ポイントだが、2022〜2023年に積み上がった2年分のマイナスはそのまま残っている。2024年に「賃上げ元年」と呼ばれても、実質で取り戻せたのは+0.1%だった。

データを見た正直な感想として、「追いついてきた」段階であって「取り戻した」ではない。佐賀県のように給与水準が全国平均を下回るエリアでは、同じ統計上の変化率よりも生活実感のズレが大きくなる構造がある。

給料が上がった実感があるか、それとも物価の上昇にまだ追いつかれたままの感覚か。

📷 @gachi_tokusuru でも節約・不動産データを発信中。フォローお待ちしてます!